04 ・ 体験と画面
デザインシステム・UIガイド
実際の画面で使われている部品と規則を調べ、共通の部品として揃えるガイドです。各部品の使う場面、使わない場面、状態、例外、コードとの対応を書き、複数の画面と担当者が同じ判断で画面を作れるようにします。
デザインシステム・UIガイドの工程と判断
概要
UI画面のガイドは、部品を使って個々の画面を作ります。このガイドは、その部品と規則そのものを作り、UI画面のガイドが参照する基準にします。ブランド方針のガイドは、言葉とデザインの方向を決めます。ここではその方向を、UIの部品と値に置き換えます。ブランドの方向が決まっていない場合は、先にブランド方針のガイドを参照します。
最初に部品を集め、違いを調べてから共通化する範囲を決めます。範囲の部品を作ったら、代表画面で組み直して使えるかを確かめ、最後に使い方と例外を書きます。人が判断するのは、共通化する範囲を決める場面と、代表画面で使えるかを確認する場面です。
向いている場面
- 複数の画面や製品で、同じ役割の部品が違う見た目や動きになっているとき
- 担当者が増え、画面を作る判断を揃えたいとき
- デザインファイルとコードの部品が、ずれてきたとき
このガイドで扱わないこと
- 個々の画面のデザイン。UI画面のガイドで扱います。
- ブランドの色や言葉の方向の決定。ブランド方針のガイドで扱います。
- 表記ルールの検討。UXライティングのガイドで決め、このガイドの成果に含めます。
全体の流れと分担
工程は01から05へ進みます。工程02で人が共通化する範囲を決め、工程04で人が代表画面で使えるかを確認します。工程01では、画面ごとに部品を調べる作業を複数の担当で分担できます。工程05の部品ごとの執筆も分担できます。工程04で必要な操作が成り立たない、または例外が多いと分かったら、工程02へ戻って範囲や部品の分け方を見直します。
工程ごとの分担
| 担い手 | 01部品を集める | 02範囲を決める | 03共通部品 | 04代表画面で試す | 05使い方と例外 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人 | 判断:対象の画面と記録の様式を決める | 判断:共通化する範囲を決める | 判断:名前と値を確定する | 判断:代表画面を操作し、使えるかを確認する | 判断:一人が全体を読み、名称と値を揃えて確定する |
| AI | 部品を一覧にする(複数の担当で分担できる) | 似た部品をまとめ、違いを二つに分ける | 部品の案、状態、値を整理する。環境があればその上で作る | 環境があれば、代表画面を共通部品で組み直す | 部品ごとのガイドを下書きする(分担できる) |
| 開発担当者 | コード上の部品と、変えられない箇所を示す | 置き換えの影響を示す | コード側の部品を作る | 実装したときの問題を確かめる | なし |
迷ったときの参照先
手元の状況に近いものから、該当する節を開いてください。
015工程のうち1
画面と部品を集める
対象の画面と、そこで使われている部品、値、表記、実装上の制約を集めます。
考え方
最初に、既存のデザインライブラリとコードを確認します。既にある部品を知らずに共通部品を作ると、既存の重複をもう一つ増やすことになります。
画面ごとに部品を調べる作業は、複数の担当で分担できます。分担する前に、記録する項目と名前の付け方を決めておきます。部品は見た目と一緒に、どの画面で何のために使われているかを記録します。見た目が同じでも役割が違えば別の部品として扱い、見た目が違っても役割が同じなら共通化の候補になります。
推奨と理由
分担する前に、記録の様式を決める
理由様式が担当ごとに違うと、同じ部品が別の名前で集まり、重複しているかどうかを判定できません。
見た目と一緒に、使われ方を記録する
理由見た目だけで集めると、役割の違う部品を一つにまとめてしまい、代表画面で試す段階で例外が増えます。
次へ進む目安
- 対象の画面が全て調べられている
- 各部品に、使われている画面と、コード上の対応(ある場合)が書かれている
- 既存のデザインライブラリにある部品との対応が分かる
具体例
二つの社内ツールの部品
説明のための架空の例です。ある会社で、経費精算と勤怠管理の二つの社内向けWebツールを、別々の担当が作ってきました。二つのツールの部品を揃え、今後の画面を同じ規則で作れるようにします。以降の工程でも同じ例を使います。
- 集め方
- 二つのツールの24画面を、二人で分担して調べた。記録の項目と名前の付け方は、分担の前に決めた。
- 集めた結果
- ボタンは7種類、日付の入力欄は3種類あり、青い色は似た値を含めて5種類使われていた。
025工程のうち2
重複や違いを調べ、共通化する範囲を決める
集めた部品を比べ、揃える違いと残す違いを分け、今回共通化する範囲を決めます。
考え方
部品の違いには、理由のある違いと偶然の違いがあります。理由のある違いには、取り消せない操作を目立たせるため、一覧の中で密度を上げるため、実装上の制約のため、などがあります。偶然の違いは、担当や作った時期が違うために生じたものです。
判断の材料は、その部品が使われている画面の数、違いの理由、置き換えたときの影響、同じ見た目で違う動きをする箇所の有無です。複数の画面で使われ違いに理由がない部品と、違いを規則として説明できる部品を範囲に入れます。
推奨と理由
違いの理由を確かめてから揃える
理由偶然と判断した違いが、誤った操作を防ぐなど業務上の理由を持っていた場合、揃えることで誤操作を招きます。
最初の範囲は、使われる頻度の高い部品に絞る
理由全ての部品を一度に揃えようとすると、代表画面での確認が終わらないまま規則だけが広がります。
次へ進む目安
- 範囲に入れた各部品について、揃える理由または残す違いの理由を言える
- 置き換えの影響を受ける画面が分かっている
- 今回の対象外が書かれている
具体例
二つの社内ツールの部品
- AIの整理
- ボタン7種類は、役割で見ると主な操作、補助の操作、取り消せない操作の3種類に整理できた。日付の入力欄3種類のうち1種類は、勤怠の「月だけを選ぶ」用途に使われていた。
- 人の判断
- 月だけを選ぶ入力欄は理由のある違いとして残した。範囲は、ボタン、入力欄、日付の入力欄、通知に決め、表は今回の対象外にした。
035工程のうち3
共通部品を作る
範囲の部品について、状態、値、名前を決め、デザインファイルとコードで対応する形で作ります。
考え方
各部品には、通常、フォーカス、押している間、使えない、エラー、読み込み中など、必要な状態を全て作ります。名前は、色や形より役割から付けます。値は名前を付けて管理し、部品からはその名前で参照します。
デザインファイルとコードの対応は、表にして残します。デザインファイルとコードを自動で同期する仕組みを使う場合は、実際に使う環境で一度動かし、変更が正しく反映されるかを確かめてから採用します。
推奨と理由
名前は役割から付ける
理由色で名付けると、ブランドの色を変えたときに名前と見た目が食い違います。
デザインファイルとコードの対応表を作る
理由対応が片方にしか書かれていないと、更新のたびに二つがずれていきます。
次へ進む目安
- 範囲の各部品に、必要な全ての状態がある
- 値が名前つきで管理されている
- コード側の対応が決まっている。未実装の部品には担当がある
具体例
二つの社内ツールの部品
- ボタン
- 主な操作、補助の操作、取り消せない操作の3種類にし、それぞれ6つの状態を作った。
- 色の値
- 5種類あった青は、「主な色」と「リンクの色」の二つの名前つきの値に整理した。
045工程のうち4
代表画面で試す
共通部品で代表画面を組み直し、利用者に必要な操作と状態が成り立つか、規則だけで作れるか、例外がどれだけ出るかを確かめます。
考え方
代表画面には、性格の違う画面を選びます。例えば、入力が多い画面と、一覧が多い画面です。組み直す中で規則に合わない箇所が出たら、その場で個別に直さず、数と理由を記録します。
例外の数だけでは、共通部品が使えるかを判断できません。実際に操作できる表示で、利用者が代表画面で必要な操作を最後まで行えるか、入力の誤り、読み込み中、使えない状態など、利用者に必要な状態が表示で伝わるかを確かめます。
判断の材料は、操作と状態の確認結果、例外の数と理由、組み直す前と後の画面の比較、置き換えによって変わる操作です。必要な操作が成り立ち、必要な状態が伝わり、例外が規則として説明できる数に収まり、置き換えで利用者の操作が変わる箇所が把握されていれば合格とします。操作が成り立たない、または例外が多い場合は、工程02へ戻り、範囲や部品の分け方を見直します。
推奨と理由
性格の違う画面を、少なくとも二つ選ぶ
理由似た画面だけで試すと、規則がその種類の画面に合わせて作られ、他の画面で例外が増えます。
例外は個別に直さず、記録して集める
理由個別の対応を重ねると、共通部品の外に新しい重複が生まれ、工程02の整理が元に戻ります。
静止画で並べるだけでなく、操作して状態を出す
理由部品の見た目が揃っていても、エラーや読み込み中の状態が画面の中で見分けられない、押せる範囲が足りないといった問題は、操作しないと分かりません。
次へ進む目安
- 代表画面で、利用者が必要な操作を最後まで行える
- 入力の誤り、読み込み中、使えない状態など、利用者に必要な状態が表示で伝わる
- 例外が記録され、それぞれに対応方針(規則に加える、画面を直す、範囲を見直す)がある
- 置き換えで利用者の操作が変わる箇所が分かっている
具体例
二つの社内ツールの部品
- 代表画面
- 経費の申請フォームと勤怠の一覧で試した。
- 操作と状態
- 申請の入力から送信まで、勤怠の確認から修正の依頼までを共通部品で操作でき、入力の誤りと読み込み中の状態が表示で伝わることを確かめた。
- 例外と対応
- 勤怠の一覧では、表の中に置くボタンが大きすぎて行の高さが増えたため、補助の操作に小さいサイズを加える方針にした。申請フォームでは、取り消せない操作のボタンが「申請の取り下げ」に使われていた。取り下げは後から戻せる操作のため、補助の操作のボタンに変えた。
055工程のうち5
使い方と例外をまとめる
各部品の使う場面、使わない場面、状態、例外、コード上の名前を、ガイドとして書きます。
考え方
部品ごとに、使う場面と使わない場面を書き、使わない場面では代わりに使う部品を示します。例は、工程04で組み直した代表画面から取ります。
部品ごとの執筆は分担できます。分担した場合は、最後に一人が全体を読み、部品の名前、値の名前、用語を揃えます。文言の規則をガイドに含める場合は、UXライティングのガイドで決めた表記ルールと呼び名を使います。
推奨と理由
使わない場面と、代わりの部品を書く
理由使う場面だけを書くと、似た部品のどちらを選ぶかが読む人の判断に任され、また違いが生まれます。
例は代表画面の実例から取る
理由架空の例だけでは、読む人が実際の画面で同じ判断をできるかが分かりません。
次へ進む目安
- 範囲の全ての部品に、使う場面、使わない場面、状態、コード上の名前がある
- 例外に理由が書かれている
- 一人が全体を読み、名称と値が揃っている
具体例
二つの社内ツールの部品
- 使う場面
- 取り消せない操作のボタンは「経費の記録の削除のように、後から戻せない操作」に使うと書いた。
- 使わない場面
- 「申請の取り下げのように後から戻せる操作」には使わず、補助の操作のボタンを使うと示した。
- 例外
- 勤怠の一覧で加えた小さいサイズは、表の中だけで使う例外として理由とともに記録した。
成果を渡す先
UIガイドと共通部品は、画面を作る担当と開発の担当が同じ基準で判断するための材料になります。
| 渡す先 | 渡すもの | 渡す時点 |
|---|---|---|
| UI画面 | UIガイドと部品の一覧 | 共通部品を使って新しい画面を作るとき |
| 開発担当者 | デザインファイルとコードの対応表、未実装の部品と担当 | 工程03で対応表を作ったあと、工程05でガイドを確定したあと |
| UXライティング | 部品ごとの文言の置き場所と文字数の上限 | ボタンやエラーの文言の規則もガイドに含めるとき |
| ブランド方針 | 集めた部品の一覧と、現在使われている値 | 色や書体などの方向が決まっておらず、値を決められないとき |
このガイドへ戻るとき
UI画面のガイドで、既存の部品では作れない部品が必要になったときは、工程02で範囲に加えるかを判断します。ブランド方針が変わり色や書体の値が変わるときは、工程03で値を更新し、工程04で代表画面を確かめ直します。