17 ・ 文書と発表
調査レポート
判断の前に、判断に必要な事実を集めて条件をそろえて比べ、結論と、その結論が成り立つ条件・根拠・未確認の点をまとめるガイドです。調べて何を決めるかを確かめるところから、結論の使い方を判断する人と決めてレポートにするまでを扱います。
- 決めること
- 調査の問い、比べる条件、結論が成り立つ範囲
- 主な成果
- 条件付きの結論、根拠と反例への対応、仮説と未確認の点を示した調査レポートと、元資料と確認日を残した調査メモ
- 前後のガイド
- 結論を使って案を選ぶときは企画・組織戦略・提案書、口頭で報告するときはスライド・発表原稿、読み物にするときは記事・長文のガイドへ進みます。
調査レポートの工程と判断
概要
調査レポートは、何かを決める前に、判断の根拠になる事実と、その事実が当てはまる範囲を示す成果物です。成果の中心は、結論、結論が成り立つ条件、根拠、まだ確かめていない点の4つです。どの案を選ぶかは、レポートを受け取った人が決めます。
AIは、使える環境があれば、資料の検索、記述の抜き出し、元資料との照合と参照箇所の記録、比較表の作成、反例の候補探しを担えます。公開情報を検索できるか、組織内の資料やデータを読めるかは、使う道具の接続と権限で決まります。人は、AIの照合と参照の記録をもとに、判断を左右する根拠、未確認の点、重要な条件を元資料で確かめます。要約の過程で日付や条件が抜けたり、元の資料にない内容が示されたりすることがあるためです。
調査メモと提出するレポートは分けて扱います。調査メモには、元資料、確認日、事実、解釈、反例、未確認の点をすべて残します。レポートには、判断する人が読む順に結論と条件を書きます。出典を載せるかどうかは、依頼された形式に合わせます。
向いている場面
- 機能、方針、取引先などを決める前に、判断の根拠となる事実をそろえたいとき
- 組織内の記録と公開情報など、性質の違う資料を同じ条件で比べたいとき
- 「ほかでもやっている」のような伝聞を、確かめた事実と条件に置き換えたいとき
このガイドで扱わないこと
- どの案を選ぶかの判断と提案。企画・組織戦略・提案書のガイドで扱います。
- 画面の流れを描くための利用場面の調査。UXフローのガイドの工程01で扱います。
- 調査の結果を読み物として伝えること。記事・長文のガイドで扱います。
隣接するガイドとの違い
| ガイド | 決めること | 主な成果 | 開く段階 |
|---|---|---|---|
| 15 スライド・発表原稿 | 聴衆に話す順序と、画面に出す情報と口頭で補う情報の分担 | スライドと発表原稿 | 話す場と持ち時間が決まっているとき |
| 16 記事・長文 | 本人の考えと経験を伝える構成と言葉 | 本人が自分の考えとして出せる本文 | 読み物として公開や共有をするとき |
| 17 調査レポート | 判断に必要な事実、比べる条件、結論が成り立つ条件 | 根拠と反例を含む調査レポート | 判断の前に事実をそろえるとき。発表、記事、提案の根拠を用意するときも開く |
| 18 企画・組織戦略・提案書 | 進める案、試す範囲、評価方法 | 決定者が判断できる提案書 | 決定を求めるとき。発表の場で提案する場合は、スライド・発表原稿のガイドも参照する |
全体の流れと分担
工程は01から05へ進みます。工程01で人が依頼者と調べる目的を決め、工程05で結論の使い方を判断する人と決めます。互いに依存しないテーマや情報源は、工程03で別の担当や別に作業するAIに分けて、並行して集められます。工程05で根拠が足りないと判断されたら、工程02へ戻って調べ方を見直します。
工程ごとの分担
| 担い手 | 01目的 | 02調べ方 | 03資料 | 04比較と反例 | 05結論とレポート |
|---|---|---|---|---|---|
| 人 | 判断:依頼者と調べる目的を決める | 判断:範囲、終える条件、担当を決める | 判断:判断を左右する根拠を元資料で確かめる | 判断:比較に使う資料と反例の扱いを決める | 判断:結論の使い方を決める判断:提出してよいかを決める |
| AI | 依頼から問いと前提を整理する | 情報源と比較の観点を提案する | 集めて元資料と照合し、参照を記録する(テーマごとに並行できる) | 比較表を作り、反例の候補を挙げる | 結論の文案と構成案を作る |
| データ担当 | なし | 集計の方法と条件を示す | 集計し、条件と一緒に渡す | 条件を分けた追加の集計をする | なし |
| 判断する人 | 結果を使う判断を示す | なし | なし | なし | 判断:結論の使い方を一緒に決める |
迷ったときの参照先
手元の状況に近いものから、該当する節を開いてください。
015工程のうち1
調べて何を決めるか確認する
調査の結果で、誰が、何を、いつまでに決めるのかを確かめ、調査の問いを一文にします。
考え方
決めたいことが曖昧なまま調査を始めると、関係しそうな資料を集め続けることになり、どこで終えればよいかが決まりません。最初に、この調査の結果で誰が何を決めるかを確かめます。決めたいことが分かれば、どの資料が必要か、どこまで調べれば十分かを判断できます。
調査の問いは、答えの形が分かる文にします。「オフライン視聴について調べる」では、何が分かれば終わりなのかが分かりません。「来期の開発対象に入れるかを判断するため、受講者の利用場面に需要があるかと、提供に必要な条件を調べる」のように、判断と問いを結びつけます。依頼者が決めたいことを言葉にしていない場合は、AIが判断の候補を挙げ、人が依頼者に選んでもらいます。
調査だけでは決まらない判断もあります。たとえば、事業としてどの取り組みを優先するかは、調べた事実に加えて、判断する人の方針で決まります。その場合は、調査で答えられる部分を問いにし、残りは判断する人が決める事項として分けて書きます。
推奨と理由
結果を使う判断を依頼者と確かめてから調べ始める
理由判断が分からないまま集めた資料は、比較の条件がそろわず、後の工程で使えない部分が増えます。
既に分かっていることと前提を書き出す
理由既存の資料で答えが出ている部分を調べ直さずに済みます。前提が誤っていた場合に、結論のどこが変わるかも追えます。
問いは一つにし、関連する問いは別に記録する
理由複数の問いを同時に扱うと、資料ごとにどの問いの根拠かが分かれ、結論の条件を書き分けにくくなります。
判断の材料と進める条件
- 判断する人
- 調査を担う人が、依頼者と確かめて決める
- 判断の材料
- 依頼の内容
- 結果を使う判断、判断する人、判断の時期
- 既に分かっていることと前提
- 進める条件
- 調査の問いが一文で書け、答えの形(はい・いいえ、条件付きの答え、比較の結果など)が分かる
- 依頼者が、その問いの答えで判断できると確認している
- 満たさない場合
- 依頼者が判断を言葉にできない場合は、判断の候補を示して選んでもらい、選ばれてから工程02へ進みます。
次へ進む目安
- 調査の問いが一文で書け、答えの形が分かる
- 結果を使う判断と、判断する人、判断の時期が書かれている
- 調査で答える部分と、判断する人が決める部分が分かれている
具体例
オフライン視聴を加えるかの調査
説明のための架空の例です。オンライン講座を運営する事業者が、受講者向けのアプリに、講座の動画を端末に保存し、通信のない場所でも見られる機能(オフライン視聴)を加えるかを判断するために調査します。以降の工程でも同じ例を使います。
- 依頼
- 「オフライン視聴について、ほかのサービスの状況も含めて調べてほしい」という依頼を受けた。
- AIの整理
- 決めたいことは、来期の開発対象に入れるか。判断するのは、開発計画を決める月次の企画会議。調査で答えられるのは、受講者に需要がある場面と、提供に必要な条件。事業として優先するかは、企画会議が決める事項。
- 調査の問い
- 受講者の利用場面にオフライン視聴の需要はあるか。あるなら、どの条件で提供できるか。(人が依頼者と確認)
- 前提
- 講座の動画の一部は、社外の講師が権利を持つ。提供の条件を調べるときに関わる。
025工程のうち2
調べ方を決める
問いに答えるために、どの情報源を、どの観点で、どこまで調べるかを決め、担当を割り当てます。
考え方
調査計画では、問いの各部分に情報源を割り当てます。公開資料、組織内のデータ、利用者への聞き取りでは、分かることも、手に入れるまでの手間も違います。組織内のデータや記録を使う場合は、閲覧の権限と、その目的で使ってよいかを先に確かめます。
比較の観点と、情報の新しさの基準もこの段階で決めます。観点が後から変わると、集めた資料を読み直すことになります。必要な新しさは、判断の時点で決まります。サービスの提供条件のように変わりやすい情報は、以前に確かめた値をそのまま現在の値として扱わず、判断の時点に近い日に元の情報で確かめ直し、確認日を残します。
終える条件は、判断を左右する根拠、条件、反例を確かめられたかで決めます。資料の件数は、集める量の目安として書きます。たとえば「提供条件の違いが分かり、提供をやめた事例を少なくとも一つ調べ、自社の記録で需要の手がかりを確かめたら比較に進む。同種のサービスは5件程度を目安にする」のように書きます。目安の件数に届いても反例を調べていなければ、結論の範囲を書けません。終える条件がないと、資料を集める工程が判断の時期を過ぎても続きます。
推奨と理由
AIが検索や組織内資料の閲覧をできるかを先に確かめ、できない部分の担当を決める
理由検索や閲覧ができるかは、使う道具の接続と権限で決まります。使えない情報源を計画に入れたままにすると、集める工程で止まります。
利用データの集計や聞き取りは、扱える担当を決めてから計画に入れる
理由個人に関わるデータや聞き取りには、扱いの取り決めや同意が必要な場合があり、手順を知る担当が関わる必要があります。
終える条件は、判断を左右する根拠・条件・反例がそろったかで書き、件数は目安にする
理由件数だけで終えると、反例や条件を調べないまま比較に進むことがあります。期限だけで終えると、どの根拠が足りないまま終えたのかが分からなくなります。
次へ進む目安
- 問いの各部分に、対応する情報源が割り当てられている
- 比較の観点と、情報の新しさの基準(判断の時点で確かめ直す情報を含む)が書かれている
- 権限や同意が必要な情報源に、担当と確認方法が決まっている
- 終える条件と、件数の目安が書かれている
具体例
オフライン視聴を加えるかの調査
- 情報源
- 自社アプリの視聴記録、受講者からの問い合わせ記録、同種の学習サービスが公開している提供条件、通信環境に関する公開資料。
- 比較の観点
- 保存できる期間、保存できる講座の範囲、端末の容量への配慮、権利者との取り決めの有無(公開情報で分かる範囲)。
- 新しさの基準
- 同種サービスの提供条件は、企画会議の前の週に、各サービスの提供条件のページで確かめ直し、確認日を残す。以前の調査で見た値は、そのまま使わない。
- 担当
- 公開情報の検索と元資料との照合はAI(検索と元資料の閲覧ができる環境で行う)。視聴記録の集計は、閲覧の権限を持つデータ担当。問い合わせ記録は、人が対象期間を指定して読む。
- 終える条件
- 提供条件の違いが分かり、提供をやめた事例を少なくとも一つ調べ、自社の記録で需要の手がかりを確かめたら比較へ進む。同種サービスは5件程度を目安にする。
035工程のうち3
資料を集める
計画に沿って資料を集め、元資料、確認日、事実と解釈を分けて調査メモに残します。数値は、記録から得た値と、そこからの推定を分けて記録します。
考え方
集める段階では、資料ごとに、何が書かれているか(事実)と、そこから何が言えそうか(解釈)を分けて記録します。数値では、記録から直接得た値(観測値)と、その値から推し量ったこと(推定)も分けます。一つの要約にこれらが混ざると、比較の段階で、確かめた事実と推測を区別できなくなります。
AIが元資料を開ける環境があれば、記述と元資料の照合、日付と条件の確認、参照した箇所の記録をAIが行えます。人はその記録をもとに、判断を左右する根拠、未確認の点、数値の単位や対象期間などの重要な条件を、元資料で確かめます。AIが元資料を開けない環境では、照合は人が行います。どちらの場合も、元資料にたどり着けない情報は根拠に使わず、未確認の点に移します。
組織内のデータの集計結果は、集計の条件と一緒に受け取ります。対象期間、対象者の範囲、除外した記録などが分からないと、ほかの情報と比べるときに条件をそろえられません。記録されていないこと(たとえば再生した場所)を集計から言う場合は推定として扱い、推定の方法を残します。
推奨と理由
資料ごとに確認日と、元資料の参照箇所を残す
理由提供条件などは変わることがあり、いつの時点の情報かが分からないと、結論の条件を書けません。参照箇所が分かれば、人が確かめる箇所を選んで開けます。
要約を作る前に、問いに関わる記述を抜き出す
理由抜き出した記述は元資料と照らしやすく、要約で条件が落ちることを防げます。
観測値と推定を、同じ文に書かない
理由推定が観測値と同じ書き方で残ると、比較や結論の段階で、確かめていない推測が事実として扱われます。
計画にない有望な資料は、問いとの関係を書いて別に置く
理由その場で範囲を広げると、終える条件が意味を失います。必要なら計画を変えてから扱います。
次へ進む目安
- 調査メモの各項目に、元資料と参照箇所、確認日、事実と解釈の区別がある
- 数値の記録で観測値と推定が分かれ、推定には方法が書かれている
- 判断を左右する根拠と重要な条件を、人が元資料で確かめている
- 終える条件を満たしたか、満たせない理由が記録されている
具体例
オフライン視聴を加えるかの調査
- 調査メモの一件
- 同種サービスA。事実:有料会員は講座を30日間、端末に保存できる(提供条件のページ、確認日と参照箇所を記録)。解釈:期間を区切ることで権利者と合意している可能性がある(未確認)。
- データ担当の集計
- 観測値:直近半年の再生のうち、通信が途切れて止まった再生の割合。記録に再生した場所はないため、移動中の視聴かどうかは分からない。集計の条件(対象期間、対象の講座、除外した記録)も一緒に受け取った。
- 問い合わせ記録
- 人が直近半年の記録を読んだ。通信のない場所で見たい、動画を端末に保存したい、という趣旨の問い合わせが複数あり(件数を記録)、多くは内容の更新が少ない資格対策の講座の受講者からだった。
- 照合の結果
- AIの照合記録では、「サービスEの保存機能」は提供条件のページに見つからなかった。人も元のページで確かめて未確認の点に移し、比較には使わないことにした。条件を確かめられたのが目安の5件に対して4件だったため、代わりにサービスFの現在の提供条件を確かめて加え、比較の対象をA・C・D・F・Gの5件にした。
045工程のうち4
比較して反例も調べる
条件をそろえて資料を比べ、結論の候補に合わない事例も調べて、結論が成り立つ範囲を確かめます。
考え方
比べる前に、資料の条件をそろえます。時点、対象者、地域、指標の定義が違う資料を同じ表に並べると、差が条件の違いから生じたのか、調べたい対象の違いから生じたのかを区別できません。条件をそろえられない資料は、表に入れず注記として扱います。記録から推し量った推定は、推定の方法と不確かさ(どの程度ずれうるか)を添えれば比較に使えます。その場合も、表の上で推定と分かるように示し、事実と同じ扱いにしません。
反例は、結論の候補に合わない事例です。「需要がある」という候補に対して、機能を提供したのちに取りやめた事例があれば、取りやめた理由を調べます。反例を調べると、結論が当てはまらない条件が分かり、結論の範囲を書けるようになります。
原因と結果の関係や、利用の見込みを書く場合は、その根拠を確かめます。二つの事柄が同時に起きていても、一方が他方の原因だとは限りません。同じように、困っている記録があることは、機能を用意すればどれだけ使われるかの根拠にはなりません。根拠がなく、推定の方法も示せない部分は仮説として残し、結論と分けて次の工程へ渡します。
推奨と理由
比較表の各列に、時点と条件を書く
理由読み手が値を条件と一緒に読めるようになり、条件の違う値どうしの比較を防げます。
反例の候補探しと影響の評価はAIに任せ、採るかどうかは人が確かめて決める
理由判断の目的と問いを渡せば、候補ごとに結論への影響をAIに評価させることもできます。どの反例を採り、結論の範囲をどう変えるかは結論の使い方に関わるため、人がAIの評価と元資料を確かめて決めます。
条件によって答えが変わる場合は、結論の候補を条件ごとに分けたまま次へ渡す
理由一つにまとめると、どの条件で成り立つ結論なのかが失われます。
次へ進む目安
- 比較表の値が、時点・対象・定義のそろったものだけで構成され、推定の値には方法と不確かさが添えられている
- 結論の候補ごとに、反例を調べた結果が記録されている
- 原因と結果の関係や利用の見込みを書いた箇所に根拠があり、根拠のない部分は仮説として分けられている
具体例
オフライン視聴を加えるかの調査
- 比較
- 提供条件を確かめた5件(A・C・D・F・G)のうち4件は、保存できる期間を区切っていた。1件は期間を区切らず、保存の対象を自社で制作した講座に限っていた。
- 反例
- 以前オフライン視聴を提供し、のちに取りやめたサービスBを調べた。公開された告知では、講座の内容を頻繁に更新するため、保存された古い版が問い合わせの原因になったと説明していた。
- 人の判断
- 講座の更新の頻度が、結論の条件になると判断した。データ担当に、通信が途切れて止まった再生の割合を、講座の更新の頻度別に集計してもらった。止まった再生の記録と問い合わせは、困っている受講者がいることの根拠になるが、機能を用意すればどれだけ使われるかの根拠にはならないため、利用の見込みは仮説として分けた。
- 結論の候補
- 更新の少ない講座では、通信のない場所で見たいという需要がある(問い合わせで確認)。どれだけ使われるかは仮説。更新の多い講座では、古い版の保存が問題になるおそれがある。
055工程のうち5
結論と条件をまとめ、レポートにする
結論、条件、根拠、仮説、未確認の点をまとめ、結論の使い方を判断する人と決めて、レポートの形に整えます。
考え方
結論は、条件と一緒に書きます。「需要がある」とだけ書くと、読み手は条件を問わずに当てはめます。「更新が年1回以下の講座では、通信のない場所で見たいという問い合わせがあり、需要がある」のように、どの範囲で、何を根拠に言えるかを結論の文に含めます。確かめていない見込みは結論の文に入れず、仮説として分けて書きます。
結論をどう使うかは、判断する人と確かめて決めます。判断の根拠としてそのまま使うのか、追加の検証を条件に使うのか、判断を見送る材料にするのかによって、レポートで先に示す内容が変わります。判断する人が根拠を足りないと判断した場合は、工程02「調べ方を決める」へ戻り、問いと終える条件を見直します。
レポートには、結論、条件、根拠、反例への対応、仮説、未確認の点を、判断する人が読む順に並べます。出典を載せるかどうかは依頼された形式に合わせます。載せない場合も調査メモには元資料と確認日を残し、根拠を尋ねられたときにたどれるようにします。
推奨と理由
結論の文に条件を含める
理由条件を別の節に分けると、結論だけが引用されて条件が失われることがあります。
仮説と未確認の点は、結論への影響と一緒に書く
理由影響が分かると、判断する人が、追加の調査や試験を求めるか、未確認のまま判断するかを選べます。
提出前に、レポートの数値と記述を調査メモと照らす
理由文章を整える段階で表現を変えると、元の条件が抜けたり、推定が事実の書き方に変わったりすることがあります。
判断の材料と進める条件
- 判断する人
- 調査を担う人と、結果を使って判断する人
- 判断の材料
- 条件付きの結論の文案
- 反例への対応
- 仮説と未確認の点、それぞれの結論への影響
- 進める条件
- 判断する人が、結論の範囲と、仮説・未確認の点を理解したうえで、使い方を決めている
- レポートの数値と条件が、調査メモと一致している
- 満たさない場合
- 根拠が足りないと判断された場合は、工程02へ戻ります。結論の文が条件を欠いている場合は、工程04の比較に戻って条件を確かめます。
次へ進む目安
- 結論が条件付きの文で書かれ、根拠と反例への対応が示されている
- 仮説が、結論の文と分けて書かれている
- 結論の使い方が、判断する人と決まっている
- 仮説と未確認の点に、結論への影響が書かれている
- レポートと調査メモの数値・条件が一致している
具体例
オフライン視聴を加えるかの調査
- 結論
- 更新が年1回以下の講座では、通信が途切れて止まる再生の割合がほかの講座より高く(観測値)、通信のない場所で見たいという問い合わせもあった(事実)。この範囲では、オフライン視聴の需要があると判断できる。更新の多い講座では、古い版の保存が問い合わせの原因になるおそれがある(提供をやめた他社の事例)。
- 仮説として分けたこと
- 機能を用意した場合に、受講者がどれだけ使うか。止まった再生の記録と問い合わせだけでは分からないため、試験などで確かめる対象として渡す。
- 未確認の点
- 社外講師の講座を、端末に保存できる形で提供してよいか。講師との取り決めを確かめるまで、対象にできる講座の数が決まらない。
- 結論の使い方
- 来期の開発対象に入れるかを決める材料にする。対象の講座を限った試験提供の案を作る場合に、この結論と条件を使い、利用の見込みは試験で確かめる仮説として扱う。(人が企画会議の担当者と確認)
- 次
- 結論、条件、仮説、未確認の点を持って、企画・組織戦略・提案書のガイドの工程03「選択肢を比べ、推奨する案を選ぶ」へ進む。
成果を渡す先
調査レポートは、案を選ぶ、発表する、読み物にするなど、ほかのガイドの材料になります。渡すときは、結論だけでなく条件と仮説も一緒に渡し、受け取った側が条件を外して使わないようにします。
| 渡す先 | 渡すもの | 渡す時点 |
|---|---|---|
| 18 企画・組織戦略・提案書 | 条件付きの結論、根拠、仮説、未確認の点 | 結論の使い方が決まり、案を比べる段階になったとき。受け取った側は工程03で選択肢を比べる |
| 15 スライド・発表原稿 | 結論、条件、比較表 | 調査の結果を口頭で報告するとき。ページごとに伝えることを決める材料にする |
| 16 記事・長文 | 事実と解釈を分けた調査メモ | 調査の結果を読み物として公開するとき |
| 13 図解・グラレコ | 比較表と、結論の条件 | 比較の結果や条件の関係を図で示したいとき |
| 01 UXフロー | 利用場面に関する結論と条件 | 結論を画面の流れの設計に使うとき。工程01「利用場面を調べる」の材料にする |
このガイドへ戻るとき
企画・組織戦略・提案書のガイドで根拠が足りないと分かったときや、会議で新しい問いが出たときは、このガイドの工程01から始めます。結論の条件だけを確かめ直す場合は、工程04から見直します。提供条件のように変わりやすい情報を使った結論を、時間がたってから使う場合は、判断の時点で工程03の確認をやり直します。