19 ・ 運営と連絡
評価資料・定例報告
決まった期間の実績を、用途に合った評価基準や報告の項目に照らして整理し、記入欄や報告の形式に合わせた文書にするガイドです。自己評価、メンバーを評価する文書、定例報告を扱い、用途ごとに誰が内容を確定するかを分けて説明します。
- 決めること
- 文書の用途と内容を確定する人、基準や項目ごとの実績と根拠、評価や報告の結論(確定する人が決める)
- 主な成果
- 記入欄や報告の形式に合わせた文書と、根拠を整理した記録
- 前後のガイド
- 会議で扱う定例報告は会議準備・議事録、提出の連絡はメッセージ下書き、まだ決まっていない取り組みの提案は企画・組織戦略・提案書のガイドへ進みます。
評価資料・定例報告の工程と判断
概要
このガイドは、決まった期間の実績を、決まった基準や項目に照らして書く文書を扱います。人事評価の自己評価、メンバーを評価する文書、プロジェクトの定例報告などです。成果は、記入欄や報告の形式に合った文章と、その根拠を整理した記録です。
最初に確かめるのは、誰が評価や報告の内容を確定するかです。用途によって次のように変わります。自己評価では、本人が自分の評価を決め、最終の評価は評価者や評価の会議が決めます。メンバーを評価する文書では、評価者が評価を決め、本人の自己評価はその材料の一つです。定例報告では、報告者が報告の内容と結論を決め、受け取る人が報告をもとに判断します。AIが担うのは記録の整理と文案で、評価の段階や報告の結論は、用途で決まった人が確定します。
評価に関わる記録は、扱いの取り決めがある場合が多くあります。AIに記録を渡すか、記録を閲覧できる接続を使う前に、渡してよい範囲を確かめます。評価シートや評価のシステムへの記入は、誰が記入し、誰の承認が必要かを、その組織の取り決めで確かめてから行います。
向いている場面
- 半期や年度の自己評価、メンバーの評価を書くとき
- プロジェクトや部署の定例報告を、決まった項目で書くとき
- 実績の記録が散らばっていて、基準や項目ごとに整理し直したいとき
このガイドで扱わないこと
- 評価の最終決定や、評価の会議での調整。用途で定められた評価者や会議が行います。
- これからの取り組みの提案。企画・組織戦略・提案書のガイドで扱います。
- 報告を扱う会議の議題と記録。会議準備・議事録のガイドで扱います。
隣接するガイドとの違い
| ガイド | 決めること | 主な成果 | 開く段階 |
|---|---|---|---|
| 19 評価資料・定例報告 | 評価資料では、基準に沿った実績と評価の書き分け。評価の最終判断は、その文書で定められた判断者が行う。定例報告では、対象期間の実績、課題、次の方針のうち、報告として確定する内容 | 記入欄に合わせた評価資料、または提出形式に合わせた定例報告 | 評価の時期、または定められた周期で報告するとき |
| 20 会議準備・議事録 | 会議で話す議題と、決まったこと・未決事項の区別 | 議題と資料、議事録、記録や予定の変更案 | 会議の前と後 |
| 21 メッセージ下書き | 個別の相手に伝える内容と、依頼の範囲 | 本人が確認して送る下書き | 個別の相手へ連絡するとき。会議の結果を伝える場合は議事録をもとにする |
全体の流れと分担
工程は01から05へ進みます。工程04で、用途で決まった人が評価や報告の内容を確定します。メンバーを評価する文書やチームの報告では、工程02で担当者ごとの実績を調べて整理する作業を分担できます。工程04で根拠と結論が対応しないと分かったら、工程02の整理表へ戻ります。
工程ごとの分担
| 担い手 | 01基準と対象 | 02実績の整理 | 03記入欄 | 04確定 | 05提出 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人 | 判断:用途と、内容を確定する人を確かめる | 記録の抜けを補い、評価や判断の候補を考える | 文案の事実を整理表と照らして直す | 判断:用途で決まった人として、評価や報告の内容を確定する | 判断:提出版を確かめ、記入・提出する |
| AI | 記入欄と基準の対応を整理する | 記録から実績を抜き出して並べる(担当者ごとに並行できる) | 欄ごとの文案を作る | 指摘された箇所を直し、変更点を示す | 形式をそろえる。環境と承認があれば記入する |
| 評価者・受け手 | なし | なし | なし | なし | 判断:最終の評価や判断をする |
迷ったときの参照先
手元の状況に近いものから、該当する節を開いてください。
015工程のうち1
評価基準と対象を確認する
文書の用途、評価や内容を確定する人、対象期間と役割、使う評価基準を確かめ、記入欄と基準の対応を作ります。
考え方
同じ実績でも、用途によって書く内容と基準が変わります。半期の人事評価、プロジェクトの振り返り、定例の進捗報告では、基準も読む人も違います。最初に用途を確かめ、その用途の基準を使って書きます。
評価や内容を確定する人を書き出します。自己評価なら、自己評価を決めるのは本人、最終の評価を決めるのは評価者です。メンバーを評価する文書なら、評価を決めるのは評価者です。定例報告なら、報告の内容と結論を決めるのは報告者で、受け取る人が報告をもとに判断します。この区別が曖昧なまま文案を作ると、評価や結論を言い切る主語を誤ります。
対象期間と役割も確かめます。期間の前後にまたがる成果は、どの期間の成果として扱うかを組織の取り決めで確かめます。役割が期間の途中で変わった場合は、変わった時期と、それぞれの役割で期待されたことを分けて書きます。
推奨と理由
記入欄ごとに、対応する評価基準を書き出す
理由欄と基準の対応が分かれば、どの実績をどの欄に書くかを整理できます。
用途の違う基準は、参考として別に置く
理由別の評価の基準で書いた実績は、今回の評価者が判断に使えません。
内容を確定する人と、記入・提出する人を分けて確かめる
理由自己評価でも、上長の確認を経て提出するなど、記入と承認の流れは組織ごとに違います。
次へ進む目安
- 用途、内容を確定する人、最終の判断をする人が書かれている
- 対象期間と役割(期間中の変更を含む)が確かめられている
- 記入欄と評価基準(または報告の項目)の対応表がある
具体例
チームのリーダーの半期の自己評価
説明のための架空の例です。オンライン講座を運営する事業者で、講座制作チーム(4人)のリーダーが、4月から9月の半期の自己評価シートを書きます。評価基準は、等級ごとの行動基準と、期初に立てた目標です。自己評価はリーダー本人が決め、最終の評価は上長(評価者)が決めます。記入欄は「目標の達成状況」「行動基準ごとの自己評価(4段階)」「チームへの貢献」「次期の方針」です。以降の工程でも同じ例を使います。
- 用途と確定する人
- 半期の人事評価の自己評価。自己評価はリーダー本人が決め、最終の評価は上長が決める。
- 期間と役割
- 4月から9月。7月から、新人1名の育成担当が役割に加わった。
- 欄と基準
- 「行動基準ごとの自己評価」は等級の行動基準(5項目)。「目標の達成状況」は期初の目標3件。
- 別に置いたもの
- プロジェクトの振り返りで使った評価項目。今回の基準とは別の用途のため、記入には使わない。
025工程のうち2
実績と評価を整理する
成果と行動の記録を集め、基準や項目ごとに、実績(何をして、どうなったか)と評価や判断(基準に照らしてどうか)を分けて整理します。
考え方
整理の段階では、実績と評価を分けます。実績は、何を、いつ、どの役割で行い、どんな結果になったかです。評価は、その実績が基準に照らしてどの程度かという判断です。定例報告では、評価の代わりに、予定どおりか遅れているかといった報告者の判断を分けます。一つの文に両方を混ぜると、読む人が根拠となる事実を取り出せません。
実績には根拠を付けます。成果物、記録、数値、関係者からの反応など、後で確かめられるものです。チームで達成した成果は、全体の結果と本人の役割を分けて書きます。チーム全体の成果を自分の成果として書くと、評価者がほかのメンバーの評価と照らしたときに重なります。
AIが整理できるのは、渡された記録の範囲です。記録の期間や種類に抜けがあれば、AIはそれを本人への質問として示し、本人が思い出して補います。メンバーを評価する文書を書く場合は、メンバーごとの記録の整理を分担できますが、評価の段階は評価者が決めます。
推奨と理由
整理表で、実績と評価の候補を別の列に分ける
理由文章にする段階で、事実と判断のどちらを書いているかを確かめながら書けます。
チームの成果は、全体の結果と本人の役割を分けて書く
理由評価者が、個人の貢献とチームの成果を区別して判断できます。
根拠のない実績は、確かめるか、書かない候補に分ける
理由評価者に根拠を尋ねられたときに答えられない記述があると、文書のほかの記述も確かめ直されることになります。
次へ進む目安
- 基準ごとに、実績、根拠、評価や判断の候補が分かれて並んでいる
- チームの成果について、本人の役割が区別されている
- 対象期間外の実績が混ざっていない
具体例
チームのリーダーの半期の自己評価
- AIの整理
- 渡した記録は、制作の進行表、講座の公開記録、期初の目標。目標①「講座を8本公開」は、公開9本(公開記録)。目標②「制作手順書の改訂」は、改訂版を6月に共有(文書の履歴)。
- 本人が補った実績
- 7月からの新人の育成。週1回の確認と、担当した講座1本の公開までの伴走。記録は面談のメモのみ。
- 役割の区別
- 9本の公開はチーム4人の成果。本人の役割は、全体の進行管理と、2本の監修。
- 評価の候補
- 目標①は達成。行動基準「育成」は、新人の担当講座が公開まで進んだことを根拠に、上から2番目の段階を候補にした。
035工程のうち3
記入欄に合わせて書く
整理表の実績と、評価や判断の候補を、各記入欄の目的、文字数、読む人に合わせた文章にします。
考え方
記入欄は、それぞれ読む人が知りたいことに対応しています。「目標の達成状況」には結果と根拠を、「行動基準ごとの自己評価」には基準に照らした判断とその理由を書きます。同じ実績を複数の欄に書く場合は、欄ごとに示す面を変えます。
欄の間で、文の細かさをそろえます。ある欄では数値まで書き、別の欄では印象だけを書くと、読む人が欄ごとの判断を比べられません。チーム全体を率いる立場の報告では、個々の作業を並べるより、組織全体の成果、共通の課題、次の方針を書きます。
文字数に制限がある欄では、根拠を一つに絞ります。複数の根拠を短く並べるより、最も確かめやすい根拠を一つ示すほうが、読む人が判断に使えます。定例報告では、前回と同じ項目の順に書くと、読む人が変化を比べられます。
推奨と理由
欄ごとに、最初の一文で結論を書く
理由評価者や報告を受け取る人は多くの文書を読むため、各欄の判断を先に知る必要があります。
評価の言葉を、評価基準の言葉に合わせる
理由基準と違う言葉で書くと、どの基準に対する評価かを評価者が読み替えることになります。
感想や印象の記述は、確かめられる事実に置き換えられるかを確かめる
理由根拠のない印象は判断に使えないうえ、事実の記述と区別がつきにくくなります。
次へ進む目安
- 各欄の内容が、その欄に対応する基準や項目に沿っている
- 欄の間で、文の細かさと根拠の示し方がそろっている
- 文字数などの制限を満たしている
具体例
チームのリーダーの半期の自己評価
- 「目標の達成状況」の文案
- 講座公開8本の目標に対し、9本を公開した(公開記録)。本人は全体の進行管理と、2本の監修を担った。
- 照合で直した箇所
- 「チームへの貢献」の文案に「改訂後、手順についての問い合わせが減った」とあった。問い合わせの件数の記録がなかったため、「改訂版を、チーム全員が使う手順として採用した」という確かめられる事実に直した。
- 「次期の方針」の書き方
- チームを率いる立場として、個々の作業を並べず、チーム全体の課題(監修の順番待ちで公開が遅れること)と、次期の方針を書いた。
045工程のうち4
評価と報告内容を確定する
評価の段階や報告の結論を、用途で決まった人が確定し、事実と表現を確かめます。
考え方
この工程で文書の結論が確定します。確定するものと確定する人は、用途によって違います。AIの文案にある評価や結論の言葉は、確定する人が採用するまで候補として扱います。
| 用途 | 確定する人 | 確定するもの | 進める条件 |
|---|---|---|---|
| 自己評価 | 本人(最終の評価は評価者) | 評価の段階、全体の結論 | 各段階に整理表の根拠が対応し、本人が自分の評価として説明できる |
| メンバーを評価する文書 | 評価者(最終の決定は評価の決定者) | 評価の段階、結論、本人の自己評価との違いの理由 | 各段階に根拠が対応し、本人の自己評価を書き換えていない |
| 定例報告 | 報告者 | 報告の内容、進捗の判断(予定どおりか、遅れているか)、課題と次の対応 | 判断が記録の事実と対応し、前回の報告から変わった点が分かる |
確認では、3つの点を見ます。事実が記録と一致しているか。評価の段階や報告の判断が、基準や項目の言葉に合っているか。本人が話していない経験や感情、合意していない約束が書かれていないか。とくに次期の方針や次の対応で、まだ決まっていない取り組みを決定済みのように書いていないかを確かめます。
メンバーを評価する文書では、本人の自己評価と評価者の評価が違う場合があります。違う箇所には評価者の判断と根拠を書き、本人の自己評価は本人が書いたまま残します。
推奨と理由
評価の段階や報告の判断は、確定する人が根拠を見て選ぶ
理由文案の言い回しに合わせて段階や判断を選ぶと、根拠と結論が対応しなくなります。
確認は、整理表と文書を並べて行う
理由文書だけを読むと、自然に読める文の中の事実の誤りに気づきにくくなります。
次期の方針や次の対応は、決定済みと提案を分けて書く
理由読む人が、本人の意思と組織の決定を区別して読めます。
判断の材料と進める条件
- 判断する人
- 用途で決まった人(上の表を参照)
- 判断の材料
- 欄ごとの文案
- 根拠を記した整理表
- 評価の文書では評価基準の段階の定義、定例報告では前回の報告と報告の項目
- 進める条件
- 評価の文書では、各段階の選択に整理表の根拠が対応している。定例報告では、進捗の判断が記録の事実と対応している
- 本人が話していない経験・感情と、合意していない約束が含まれていない
- 確定する人が、文書の結論を自分の判断として説明できる
- 満たさない場合
- 根拠と結論が対応しない場合は、工程02の整理表へ戻って根拠を確かめます。根拠が見つからなければ、段階や判断を変えるか、記述を外します。
次へ進む目安
- 評価の段階や報告の結論を、用途で決まった人が確定している
- 各記述の事実が、整理表の根拠と一致している
- 本人が話していない経験・感情や、合意していない約束が含まれていない
具体例
チームのリーダーの半期の自己評価
- 本人の判断
- 自己評価のため、本人が確定した。行動基準「育成」は、候補どおり上から2番目の段階に決めた。根拠は、新人の担当講座の公開。
- 削った記述
- 文案の「新人の自信が深まった」は、本人が話していない新人の感情だったため、「担当講座1本を公開まで進めた」に直した。
- 書き分けた記述
- 「監修の担当を2名に増やす」は未決の考えだったため、「監修の順番待ちを減らすため、監修の担当を2名に増やすことを上長に提案する」と書き分けた。
055工程のうち5
提出する形式に整える
記入欄や報告の形式に合わせて整え、記入と提出を組織の取り決めに沿って行い、提出した版を根拠と一緒に残します。
考え方
形式を整える段階では、内容を変えません。文字数の調整や表記の統一で意味が変わった場合は、工程04に戻って、確定する人が確かめます。
評価シートや評価のシステムへの記入は、誰が記入するか、記入の前後に誰の承認が必要かを、その組織の取り決めで確かめます。定例報告の共有先や掲載場所も、同じように取り決めで確かめます。AIが記入を担うのは、そのシートやシステムを編集できる接続と権限があり、記入の承認を受けた場合です。それ以外の場合は、人が文書から記入欄へ写します。
提出した後も、提出した版と整理表を残します。評価者や受け取る人から質問を受けたときに、提出した版と根拠を照らして答えられます。
推奨と理由
記入の前に、提出版の全文を通して読む
理由欄ごとに分けて記入すると、欄の間のつながりを確かめる機会がなくなります。
記入した後に、システム上の表示を確かめる
理由改行や文字数の扱いはシステムごとに違い、記入した文が途中で切れることがあります。
提出した版と整理表を一緒に残す
理由質問に根拠をもって答えられ、次の期間の整理にも使えます。
次へ進む目安
- 提出版の文字数と形式が、記入欄の条件を満たしている
- 記入と提出の承認を、取り決めどおりに受けている
- 提出した版と、根拠の整理表が残っている
具体例
チームのリーダーの半期の自己評価
- 形式の調整
- 各欄400字以内。超えていた「チームへの貢献」は根拠を一つに絞り、本人が意味の変化がないことを確かめた。
- 記入と提出
- この組織では、本人が評価のシステムに記入し、提出後に上長が確認する。本人が記入し、表示を確かめてから提出した。
- 残したもの
- 提出した版、整理表、記入欄と評価基準の対応表。
成果を渡す先
提出した文書と整理表は、会議の資料、連絡、次の提案の材料になります。評価のための記述を別の用途に使う場合は、用途に合わせて書き直します。
| 渡す先 | 渡すもの | 渡す時点 |
|---|---|---|
| 20 会議準備・議事録 | 報告の文書と、前回からの変化 | 定例報告を会議で扱うとき。受け取った側は工程02で議題の資料にする |
| 21 メッセージ下書き | 提出した版と整理表 | 提出の連絡をするとき、評価者や受け取る人の質問に答えるとき |
| 18 企画・組織戦略・提案書 | 実績から見えた課題と、本人の考え | 次期の方針に、まだ決まっていない取り組みを提案として出すとき。工程01から始める |
| 16 記事・長文 | 公開してよい範囲の実績と、本人の考え | 振り返りを読み物として公開するとき。評価のための記述とは分けて始める |
このガイドへ戻るとき
評価者や受け取る人から根拠を尋ねられたときは、提出した版と整理表を照らして答えます。評価の会議などで記述の修正を求められた場合は、工程04で確定する人が判断し直し、必要なら工程02の整理表に戻ります。次の期間の文書は、工程01で基準や項目に変更がないかを確かめてから始めます。