21 ・ 運営と連絡
メッセージ下書き
特定の相手へ送る短い文面を扱うガイドです。前後のやり取りと伝えたいことから、相手が読んで行動できる下書きを作ります。最終的な内容と送信は人が判断します。
メッセージ下書きの工程と判断
概要
メッセージ下書きは、特定の相手へ送る短い文面を扱います。成果は、宛先、必要な場合の件名、本文がそろい、そのまま送れる下書きです。確かめていない情報は推測で埋めず、差し込み箇所として示します。
送った文面は相手との約束になり、取り消すことが難しいため、最終的な内容と送信は人が判断します。下書きをどこに保存するか、誰が送信するかは、案件や組織の取り決めによって違います。AIが下書きを保存したり送信したりできるのは、使う道具の接続と権限があり、取り決めでその操作を任されている場合です。このガイドの例では、人が下書きを読み、自分で送信します。
短いやり取りは、分担せずに一つの流れで仕上げます。前後のやり取りを読む人と書く人が分かれると、相手との経緯が文面に反映されにくくなります。
向いている場面
- 組織の内外の特定の相手に、依頼、確認、お礼、共有の連絡をするとき
- 会議の決定や担当の約束に基づいて、相手に連絡するとき
- 相手との経緯が長く、何を伝えてよいかを整理してから書きたいとき
このガイドで扱わないこと
- 多くの人に向けた告知文や名前。ネーミング・コピーのガイドで扱います。
- サービスが自動で送る通知やメールの文面。UXライティングのガイドで扱います。
- 送信の担当や下書きの保存場所を決めること。案件や組織の取り決めに従います。
隣接するガイドとの違い
| ガイド | 決めること | 主な成果 | 開く段階 |
|---|---|---|---|
| 19 評価資料・定例報告 | 評価資料では、基準に沿った実績と評価の書き分け。評価の最終判断は、その文書で定められた判断者が行う。定例報告では、対象期間の実績、課題、次の方針のうち、報告として確定する内容 | 記入欄に合わせた評価資料、または提出形式に合わせた定例報告 | 評価の時期、または定められた周期で報告するとき |
| 20 会議準備・議事録 | 会議で話す議題と、決まったこと・未決事項の区別 | 議題と資料、議事録、記録や予定の変更案 | 会議の前と後 |
| 21 メッセージ下書き | 個別の相手に伝える内容と、依頼の範囲 | 本人が確認して送る下書き | 個別の相手へ連絡するとき。会議の結果を伝える場合は議事録をもとにする |
全体の流れと分担
工程は01から05へ進みます。工程04で、送る人が内容と言葉遣いを確かめ、送れる状態かを判断します。工程05で、人が宛先と添付を確かめて送ります。短いやり取りは前後の経緯を文面に反映するため、分担せずに一つの流れで仕上げます。工程04で依頼の範囲が根拠を超えていると分かったら、工程02へ戻って整理し直します。
工程ごとの分担
迷ったときの参照先
手元の状況に近いものから、該当する節を開いてください。
015工程のうち1
前後のやり取りを読む
相手との直近のやり取りと、送る理由になった経緯を読み、相手が既に知っていること、未回答の質問、伝えてよい範囲を確かめます。
考え方
下書きの前に、相手とのこれまでのやり取りを読みます。相手からの未回答の質問、こちらが約束したこと、相手が既に知っている事実を確かめると、同じ説明の繰り返しや、過去の約束との食い違いを防げます。
AIが読めるのは、渡されたやり取りか、接続と権限があって閲覧できる範囲だけです。口頭で話したことや別の手段でのやり取りは、人が補います。補うときは、いつ、どこで話したかも一緒に伝えます。
送る理由になった経緯も確かめます。会議の決定に基づく連絡なら、議事録で、何が決まり、何が決まっていないかを確かめます。決まっていないことを決まったように伝えると、相手は確定した約束として受け取ります。
推奨と理由
相手からの未回答の質問を先に確かめる
理由新しい依頼だけを送ると、相手は自分の質問が後回しにされたと受け取ることがあります。
送る根拠になった決定は、元の記録で確かめる
理由伝え聞いた決定は、条件や範囲が抜けていることがあり、相手への約束の範囲を誤ります。
組織内の検討状況を伝える範囲は、人が決める
理由検討中の案や組織内の事情には、外部に伝えない取り決めがある場合があります。
次へ進む目安
- 未回答の質問、約束、相手が知っている事実が書き出されている
- 送る根拠になった決定と、決まっていない事項が分かれている
- 相手に伝えてよい範囲が決まっている
具体例
講師へ意向を確かめるメール
説明のための架空の例です。オンライン講座を運営する事業者で、企画会議の結果、講座制作チームのリーダーが、社外講師2名に、講座の動画を端末に保存して見られる形で提供することへの意向を確かめる連絡を送ることになりました。リーダーは、2年前から一緒に講座を制作している講師の一人へメールを送ります。以降の工程でも同じ例を使います。
- 直近のやり取り
- 先月、講師から「次の講座の撮影日を確定したい」という質問があり、まだ答えていない。
- 根拠
- 企画会議の議事録では、決定は「10月から開発を始め、完了後に自社で制作した一部の講座で3か月試験提供する。開始は12月が目安」と、「講師に意向を確かめる連絡を送る」こと。試験の開始日、報酬や契約の変更、講師の講座を試験の対象に加えるかは決まっていない。
- 伝えてよい範囲
- 自社で制作した講座で、12月ごろから試験提供を始める予定であること。比較した案や開発の人員は伝えない。(人が判断)
025工程のうち2
伝える内容を整理する
伝える内容を用件に必要な項目に分け、一通で扱う用件と順序を決めます。相手に何かをしてもらう連絡では、事実、依頼、期限、答え方をそろえます。
考え方
相手に何かをしてもらう連絡では、何が起きているか(事実)、何をしてほしいか(依頼)、いつまでに(期限)、どう答えればよいか(答え方)の4つが必要です。お礼、情報の共有、返信が不要な連絡では、伝える事実と、返信が要らないことなど、用件に必要な項目だけを入れます。整理の段階で項目を分けておくと、本文で抜けたものが分かります。
一通で扱う用件は、相手が一度に答えられる量にします。用件が複数ある場合は、優先する用件を本文の最初に置き、ほかの用件を同じ文面に入れるか、分けて送るかを人が決めます。工程01で見つけた未回答の質問には、今回答えるかを決めます。
依頼の範囲を確かめます。「意向を聞かせてほしい」という依頼と、「了承してほしい」という依頼では、相手に求めることが違います。根拠になった決定の範囲を超える依頼や約束は、下書きに入れません。
推奨と理由
依頼がある場合は、相手が答えやすい形(選択肢、はい・いいえ、日付)にする
理由答え方が決まっていると、相手が短い時間で返事を書けます。
期限を設ける場合は、理由を添える
理由相手が期限の重さを判断でき、間に合わない場合に相談しやすくなります。
決まっていない事項に触れる場合は、未定であることと、決まる時期を書く
理由相手が未定の事項を確定したことと受け取るのを防げます。
次へ進む目安
- 用件に必要な項目が分かれてそろっている(依頼の連絡では、事実・依頼・期限・答え方)
- 依頼の範囲が、根拠になった決定の範囲に収まっている
- 一通に入れる用件と順序が決まっている
具体例
講師へ意向を確かめるメール
この連絡は依頼なので、事実、依頼、期限、答え方の4つをそろえます。
- 事実
- 10月から開発を始め、完了後の12月ごろから3か月、自社で制作した一部の講座で、端末に保存して見られる機能を試験的に提供する予定。開始日はまだ決まっていない。
- 依頼
- 講師の講座を将来この機能の対象にすることについて、意向を聞かせてほしい。了承を求めるものではない。
- 期限と理由
- 今月末まで。次回の企画会議の資料に、講師の意向を含めるため。
- 答え方
- 「前向き」「条件次第」「見送りたい」のいずれかと、気になる点があればその内容。
- 未回答の質問
- 撮影日の件に、この連絡の後半で答える。日付の候補は人が予定を確かめて入れる。
035工程のうち3
下書きを書く
整理した内容を、宛先・件名・本文のそろった、そのまま送れる下書きにし、確かめていない情報を差し込み箇所として示します。
考え方
下書きは、そのまま送れる形で作ります。宛先、件名(メールなど件名が必要な手段の場合)、本文をそろえ、送る手段で決まっている書き方(署名、敬称、宛名の書き方など)に合わせます。
本文の最初に用件を書きます。依頼の連絡なら、依頼もここに書きます。経緯の説明は、相手が用件を理解するのに必要な分にとどめます。経緯を先に長く書くと、相手は最後まで読まないと何を求められているのかが分かりません。
人名、日時、数値など、確かめていない情報は、推測で埋めずに【 】で囲んだ差し込み箇所として示します。推測で入れた日付や名前は、自然な文の中で見落とされ、そのまま送られるおそれがあります。下書きの中で記録との対応が必要なのは、事実や約束の範囲に当たる部分です。挨拶や送り手自身のお願いの言葉は、記録との対応を必要としません。
推奨と理由
差し込み箇所は、何を入れるかが分かる名前で示す
理由「【日付】」より「【撮影日の候補(2日分)】」のほうが、埋める人が迷いません。
依頼がある場合は、依頼と期限を本文の前半に置く
理由相手が冒頭を読んだ段階で、何をいつまでにすればよいかが分かります。
別の用件は、段落を分けて「また」などで始める
理由相手が、依頼と別の用件を取り違えずに読めます。
次へ進む目安
- 宛先、必要な件名、本文がそろっている
- 本文の前半に用件がある。依頼の連絡では、依頼と期限も前半にある
- 確かめていない情報が、すべて差し込み箇所になっている
具体例
講師へ意向を確かめるメール
- 件名
- 講座動画の保存機能についてのご意向のお伺い(今月末まで)
- 本文
- 【講師名】様
いつもお世話になっております。講座制作チームの【差出人名】です。
講座の動画を端末に保存し、通信のない場所でも見られる機能について、先生のご意向をお伺いしたくご連絡しました。
当社で制作した一部の講座に限って、12月ごろから3か月の予定で、この機能を試験的に提供します。開始日は準備が整いしだい決めます。先生の講座は今回の対象ではありません。今後、対象を広げるかを検討するにあたり、先生のお考えをお聞かせください。
【今月末の日付】までに、「前向き」「条件次第」「見送りたい」のいずれかと、気になる点があればお知らせいただけますと幸いです。次回の社内の会議で、先生方のご意向をもとに今後の進め方を検討するためです。今回はご意向のお伺いで、ご了承をお願いするものではありません。
また、先月お尋ねいただいた次の講座の撮影日について、【撮影日の候補(2日分)】のいずれかでいかがでしょうか。
【署名】
- 差し込み箇所
- 講師名、差出人名、今月末の日付、撮影日の候補、署名。
045工程のうち4
内容と言葉遣いを確かめる
送る人が、事実、依頼と約束の範囲、言葉遣いを確かめ、差し込み箇所を埋めて、送れる状態かを判断します。
考え方
確認では、まず事実と範囲を見ます。人名と日時、依頼の範囲、相手にしてほしいこと、期限が正しいかを確かめます。次に、合意していない約束が入っていないかを確かめます。相手に配慮した言い回しを加える段階で、「前向きに検討します」「調整いたします」のような約束が増えることがあります。
言葉遣いは、相手との関係と送る手段に合わせ、必要な場合に調整します。調整を頼むときは「もう少し短く」「初めて連絡する相手向けに改める」のように方向を伝えます。調整の後は、事実と範囲が変わっていないかを確かめ直します。
差し込み箇所がすべて埋まっていることを確かめます。【 】が残ったまま送ると、相手は下書きのまま届いたと分かり、ほかの記述の確かさも疑います。
推奨と理由
言葉遣いを直した後に、事実と範囲をもう一度確かめる
理由表現を整える段階で、約束や条件が加わったり抜けたりすることがあります。
相手の立場で一度通して読む
理由何を求められていて、何をすれば答えたことになるかが、相手に分かるかを確かめられます。
迷う表現は、AIに複数の言い方を出させて人が選ぶ
理由比べることで、相手との関係に合う言い方を選びやすくなります。
判断の材料と進める条件
- 判断する人
- 送る人
- 判断の材料
- 下書き
- 根拠になった決定と前後のやり取り
- 差し込み箇所を埋めた情報の元(予定表、過去のメールなど)
- 進める条件
- 人名、日時、依頼の範囲、期限が根拠と一致している
- 合意していない約束が含まれていない
- 差し込み箇所が残っていない
- 言葉遣いが、相手との関係と送る手段に合っている
- 満たさない場合
- 依頼の範囲が根拠を超えている場合は、工程02に戻って整理し直します。根拠そのものに疑問がある場合は、決定した人や記録に確かめるまで送りません。
次へ進む目安
- 人名、日時、依頼の範囲、期限が根拠と一致している
- 合意していない約束が含まれていない
- 差し込み箇所が残っていない
- 言葉遣いが、相手との関係と送る手段に合っている
具体例
講師へ意向を確かめるメール
- 人の確認で削った文
- 言葉遣いを丁寧にする調整の後、「ご協力いただける場合は、相応の対応を検討いたします」という一文が加わっていた。報酬の扱いは会議で決まっていないため、削った。
- 差し込み箇所
- 講師名、日付、撮影日の候補を、人が予定表と前回のメールで確かめて入れた。
- 判断
- 内容と言葉遣いを確かめ、送れる状態と判断した。
055工程のうち5
送る
送る人が、宛先と添付を確かめて送り、送った内容と返事の期限を記録します。
考え方
送る前に、宛先、写しの宛先、添付ファイル、送る手段を確かめます。過去のやり取りへの返信として送る場合は、残っている引用や宛先が今回の内容に合っているかも見ます。
送った後は、返事の期限と、返事を受けて何をするかを記録します。記録する場所は、チームの取り決めに従います。会議の約束に基づく連絡なら、約束の状態を「送付済み」に変える変更を、会議準備・議事録のガイドの工程05「記録や予定の変更案をまとめる」の手順で扱います。
同じ依頼を複数の相手に送る場合も、相手ごとに前後のやり取りが違います。共通の部分を使い回す場合でも、相手ごとに工程01から確かめます。
推奨と理由
送る直前に、宛先と添付を確かめる
理由宛先や添付の誤りは、送った後に取り消すことが難しく、相手以外に情報が伝わることもあります。
返事の期限を、予定や担当の一覧に残す
理由期限を過ぎても返事がない場合に、確認の連絡をするかを判断できます。
複数の相手に送る場合は、相手ごとに未回答の質問を確かめる
理由共通の文面だけを送ると、相手ごとの経緯に合わない文面になります。
次へ進む目安
- 宛先、写し、添付が、送る内容に合っている
- 送った文面と日時、返事の期限が記録されている
- 約束に基づく連絡の場合、約束の状態を変える変更案が伝えられている
具体例
講師へ意向を確かめるメール
- 送信
- リーダーが自分のメールから講師へ送った。写しは企画の担当者。
- 記録
- 送った日と返事の期限(今月末)を担当の一覧に残し、議事録の約束の状態を「送付済み」にする変更案を企画の担当者に伝えた。
- もう一人の講師
- 依頼の部分は同じ内容を使ったが、撮影日の質問はこの講師からは受けていないため、その段落を除いた。前後のやり取りを工程01から確かめて、別の下書きにした。
成果を渡す先
送った文面と記録は、会議の記録や次の連絡の材料になります。多くの人に向けた文面や、サービスが自動で送る文面が必要になった場合は、それぞれのガイドで扱います。
| 渡す先 | 渡すもの | 渡す時点 |
|---|---|---|
| 20 会議準備・議事録 | 送った日と、返事の期限 | 送ったことで、会議の約束の状態が変わるとき。受け取った側は工程05で変更案にする |
| 07 ネーミング・コピー | 伝えたい事実と読む人 | 多くの人に向けた告知の言葉を決めるとき |
| 03 UXライティング | 伝えたい事実と、送られる条件 | サービスが自動で送る通知やメールの文面を作るとき |
| 16 記事・長文 | 伝えたいことと読む人 | 長い説明を読み物として渡すとき |
このガイドへ戻るとき
相手から返事が来たら、その内容を前後のやり取りに加え、次の連絡は工程01から始めます。返事に会議で扱う内容が含まれる場合は、会議準備・議事録のガイドの工程01で、次の会議の材料にします。期限を過ぎても返事がない場合の確認の連絡も、工程01から作ります。