08 ・ ビジュアルと映像
キービジュアル・広告・SNS画像
決まった内容を、掲載する媒体とサイズに合わせた画像として仕上げ、書き出すガイドです。伝える内容と構図を決め、代表サイズで仕上げてから他のサイズへ展開し、書き出した画像を点検して掲載へ渡すまでを扱います。
キービジュアル・広告・SNS画像の工程と判断
概要
告知や広告の画像は、限られた面積と短い時間で、見る人に内容を伝えます。最初に代表サイズを一つ選び、構図を決めて仕上げてから、他の媒体やサイズへ展開します。代表が決まる前に全サイズを作り始めると、修正のたびにすべてのサイズを直すことになります。
AIは、構図のラフ、文字の配置の比較、サイズ展開の下案、書き出した画像の点検を担えます。画像を直接作るには画像生成やデザインツールを使って結果を確かめられる環境が、既存のデザインファイルを編集するには、そのファイルへの接続と編集権限が必要です。環境がない場合は、AIは構成案や点検表を作り、デザイナーまたは人がツールで制作します。ロゴは正式な素材から配置し、正確さが必要な文字は生成に任せず編集できるテキストとして置きます。既にデザイナーが担当している仕事では、AIの案をどう使うかを担当と合意してから進めます。
向いている場面
- 新しいサービスや催しの開始を、SNSや広告で知らせるとき
- 同じ告知を、複数の媒体とサイズで出すとき
- 文字とロゴを含む画像を、掲載先の規定に合わせて書き出すとき
このガイドで扱わないこと
- 文字を含まず、複数の制作物で使い回す挿絵や素材。イラスト・画像素材のガイドで扱います。
- 紙などに印刷して配る物。印刷物・グッズのガイドで扱います。
- 画像に載せる名前やコピーの決定。ネーミング・コピーのガイドで扱います。
着手時にそろえる材料
- 掲載する媒体とサイズ
- 書き出しの形式と容量の上限、表示時に画像の上に重なる部分を含めて確かめます。
- 伝えたい内容と採用済みのコピー
- ネーミング・コピーのガイドで記録した言葉と、その確認状況を使います。
- 正式なロゴと素材
- 写真やイラストは、出どころと使用条件が分かるものを使います。
- ブランド方針
- ブランド方針のガイドで採用したデザインのルールと避けたい誤解。
- 参考画像
- 方向を伝える材料として使います。使ってよい範囲を確かめたものに限ります。
隣接するガイドとの違い
このガイドが作るのは、文字やロゴを含めて媒体に掲載する完成した画像です。文字を含まず複数の媒体で使い回すイラストや素材はイラスト・画像素材のガイドで作り、完成した素材を持ってこのガイドの工程03へ戻ります。紙などに印刷して配る物は、色や紙の条件が加わるため印刷物・グッズのガイドで扱います。画像が案内する先のページはWeb・LPのガイドで作ります。
| ガイド | 決めること | 主な成果 | 開く段階 |
|---|---|---|---|
| 06 ブランド方針 | 対象者、提供する価値と根拠、言葉遣い、デザインのルール | ブランド方針と、方針を試した制作例 | 表現の基準がまだないとき、最初に |
| 07 ネーミング・コピー | 名前やコピーの文言、意図、使う場面、変えない表現 | 採用した文言と、その意図の記録 | 方針があり、掲載先と読む人が決まったとき |
| 08 キービジュアル・広告・SNS画像 | 構図、文字の優先順位、サイズごとの変更点 | 媒体とサイズごとの完成画像 | 使うコピーと正式な素材がそろったとき |
| ガイド | 決めること | 主な成果 | 開く段階 |
|---|---|---|---|
| 08 キービジュアル・広告・SNS画像 | 掲載面で伝える内容と、文字やロゴを含む構図 | 媒体のサイズに合わせて書き出した完成画像 | 掲載先とサイズが決まっているとき |
| 11 イラスト・画像素材 | 素材の画風、構図、切り抜く範囲 | 画面や画像に組み込む素材と、生成・編集の条件 | 部品となる絵や写真が必要なとき。キービジュアルの制作中に素材が必要になったときも開く |
全体の流れと分担
工程は01から05へ進みます。工程02で人が構図を選び、工程03で代表サイズのデザインを確かめ、工程05で書き出した画像を確かめます。代表サイズが確定したあとは、媒体やサイズごとの制作を別の担当に分けて並行して進められます。工程02でどのラフでも最初に伝えることが目立たなければ工程01へ、工程03で構図が方向に合わなくなったら工程02へ、展開先で構図を大きく変える必要が出たら工程03へ、書き出した画像に見切れがあれば工程04へ戻ります。
工程ごとの分担
| 担い手 | 01内容と構図 | 02ラフを比べる | 03代表サイズ | 04展開 | 05書き出しと点検 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人 | 判断:最初に伝えることと載せる情報を決める | 判断:構図を選ぶ | 判断:代表サイズのデザインを確定する | 判断:各サイズで優先順位が保たれているか確かめ、そろえる | 判断:書き出した画像を掲載へ渡すか決める |
| AI | 優先順位の案と掲載先の制約を整理する | 構図の違うラフを作る。環境があれば作る | 編集できるファイルを扱える環境で仕上げの案を作る | サイズごとの配置案と変更点の記録を作る | 書き出した画像を規定と点検表で確かめる |
| デザイナー | なし | 担当している場合、ラフを作るか整える | 担当している場合、仕上げや最終調整を行う | なし | なし |
| 別の担当 | なし | なし | なし | 代表の確定後、サイズごとに分担して制作する(並行) | なし |
| 掲載の担当 | 表示時に重なる範囲や文字の制限などの規定を伝える | なし | なし | なし | 案件の取り決めと承認の流れに従って投稿や入稿を行う |
迷ったときの参照先
手元の状況に近いものから、該当する節を開いてください。
015工程のうち1
伝える内容と構図を考える
画像で最初に伝えることを一つ決め、文字、写真、ロゴの優先順位と掲載先の制約を書き出します。
考え方
告知画像には、見る人が一瞬で読み取る内容と、近づいて読む内容があります。最初に伝えることを一つ決め、残りの情報に順位を付けます。すべてを同じ大きさで載せると、どれも読まれません。優先順位は、工程04で小さなサイズへ展開するときに、何を省くかを決める基準にもなります。
掲載先によって、画像の上に表示される要素が違います。SNSの縦長の表示では上下にアカウント名やボタンが重なり、広告枠では文字の面積に制限がある場合があります。こうした条件は媒体の規定や運用の担当に確かめ、構図を考える前の制約として扱います。
推奨と理由
最初に伝えることを一つに絞り、他の情報に順位を付ける
理由順位があれば、展開のときにサイズごとに省く情報を同じ基準で決められ、サイズによって伝える内容が変わることを防げます。
掲載先で重なる要素と制限を、構図の前に書き出す
理由構図を決めた後に重なりが分かると、代表サイズから作り直すことになります。
次へ進む目安
- 最初に伝えることが一文で書ける
- 情報の優先順位と、掲載先ごとの制約が書かれている
- 載せる言葉の確認状況が分かっている
具体例
定期便の開始を知らせる画像
説明のための架空の例です。ブランド方針のガイドの具体例に出てくる焙煎所が、ネーミング・コピーのガイドで決めた定期便「焙煎だより」の開始を知らせる画像を作る場面です。以降の工程でも同じ例を使います。
- 最初に伝えること
- 定期便「焙煎だより」が始まること。
- 情報の順位
- 1 名前とコピー、2 豆と手紙の写真、3 開始日、4 申し込み先、5 ロゴ。
- 掲載先
- SNSの正方形の投稿、SNSの縦長の表示、Webのお知らせ欄の横長バナー。縦長は上下に重なる表示があるため、運用している店主のパートナーに範囲を確かめた。
- 名前の扱い
- 権利の確認中のため、名前は差し替えられるテキストで置く。
025工程のうち2
ラフを比べる
構図の違うラフを同じ情報量で並べ、代表サイズで仕上げる構図を選びます。
考え方
ラフを比べるときは、すべての案に同じ情報を入れます。ある案だけ文字が少ないと、その案がすっきり見えて選ばれますが、仕上げの段階で文字を足すと構図が崩れます。比べる対象を構図の違いだけにします。
ラフは、画面いっぱいに拡大した状態に加えて、実際に表示される大きさでも見ます。SNSでは多くの人が一覧の中の縮んだ画像を最初に見ます。拡大した状態だけで選ぶと、一覧で名前が読めない構図を選ぶことがあります。
判断の材料と合否
- 判断すること
- どの構図を代表サイズで仕上げるか
- 材料
- 同じ情報量で作った構図の違うラフ、一覧表示の大きさに縮めた状態、ブランド方針、工程01の優先順位
- 合格の条件
- 縮めた状態で最初に伝えることが最初に目に入り、方針の避けたい誤解に当たらない
- 満たさないとき
- どのラフでも最初に伝えることが目立たなければ工程01へ戻り、載せる情報の量か順位を見直します。
推奨と理由
全案に同じ情報量を入れる
理由情報量の違いが印象の違いになり、構図そのものを比べられなくなります。
一覧表示の大きさでも見る
理由縮んだ状態で読めない画像は、見た人が開く前に通り過ぎられます。
次へ進む目安
- 選んだ構図で、最初に伝えることが縮小表示でも読める
- 選ばなかった構図とその理由が記録されている
具体例
定期便の開始を知らせる画像
- ラフA
- 焙煎機の写真を全面に使い、名前を下に置く。作業の様子が目立ち、方針の「手間は結果で見せる」から離れた。
- ラフB
- 豆の袋と手紙を真上から撮った写真に、名前を手紙の余白に置く。
- ラフC
- 文字だけで名前を大きく置く。縮めても読めるが、何が届くかが伝わらない。
- 人の判断
- ラフBを選んだ。縮めても名前が読め、届くものが写真で分かるため。
035工程のうち3
代表サイズで仕上げる
選んだ構図を代表サイズで仕上げ、文字、ロゴ、素材の正確さと読みやすさを確かめます。
考え方
仕上げでは、ロゴを正式な素材から配置し、比率や色を変えません。生成した画像の中にロゴや文字を描かせると、形や綴りが崩れることがあります。正確さが必要な文字は編集できるテキストとして置き、言葉の記録と一字ずつ照らし合わせます。
写真や素材の出どころも、この段階で記録します。自分たちで撮影した写真、購入した素材、生成した画像では、使える範囲が違います。生成した画像を使う場合は、利用したサービスの条件と案件の取り決めに沿っているかを確かめます。
判断の材料と合否
- 判断すること
- 代表サイズのデザインを確定し、他のサイズへ展開してよいか
- 材料
- 実寸と縮小表示の画像、使ったロゴと素材の出どころ、言葉の記録
- 合格の条件
- 実寸と縮小の両方で文字が読め、ロゴが正式な素材のままで、文字が言葉の記録と一致する
- 満たさないとき
- 読めなければ文字の大きさや情報量を調整します。構図が方向に合わなくなったら工程02へ戻ります。
推奨と理由
ロゴと正確な文字は、生成させずに配置する
理由生成した文字やロゴは細部が崩れやすく、気づかずに書き出すと誤った表記が公開されます。
実寸と縮小の両方で確かめてから確定する
理由展開の後で読めないことが分かると、全サイズを直すことになります。
次へ進む目安
- ロゴが正式な素材で、比率と色が指定どおり
- 文字が言葉の記録と一致する
- 素材の出どころと使用条件が記録されている
具体例
定期便の開始を知らせる画像
- 仕上げ
- 写真は店主が撮影したもの。名前とコピーは編集できるテキストで置き、ロゴはブランド方針で決めた共有フォルダの正式なデータを使った。
- 見つかった点
- 縮小表示で、開始日が写真の豆の模様に重なり読みにくかった。開始日の下に淡い面を敷いた。
- 文字の照合
- コピーの句点が抜けていたため、言葉の記録に合わせて直した。
- 人の判断
- 店主が代表サイズを確定し、展開へ進めた。
045工程のうち4
他の媒体やサイズに展開する
代表サイズの構図と優先順位を保ったまま、他の媒体やサイズの画像を作ります。
考え方
展開では、代表サイズの構図を、各サイズの比率と表示条件に合わせて組み替えます。縦長では情報を縦に積み、横長のバナーでは文字を減らします。どの情報を省くかは、その場の見た目で決めず、工程01の優先順位の低いものから省きます。
サイズごとに分担して作る場合は、代表サイズのデザインファイル、言葉の記録、優先順位、変えてはいけない要素を全員に渡し、最後に一人がそろえます。あるサイズで構図を大きく変える必要が出たら、代表サイズの判断に問題がある可能性があるため、工程03へ戻って確かめます。
推奨と理由
省く情報は、優先順位の低い順に決める
理由見た目で省くと、サイズによって伝える内容が変わり、どの画像を見た人にも同じことを伝えるという目的から外れます。
サイズごとの変更点を記録する
理由後で文字を修正するとき、どのサイズでどの配置を変えたかが分かれば、修正漏れを防げます。
次へ進む目安
- すべてのサイズで、最初に伝えることが保たれている
- サイズごとの変更点が記録されている
具体例
定期便の開始を知らせる画像
- 縦長
- 上下の重なる範囲を空け、名前、写真、開始日、申し込み先を縦に並べた。
- 横長バナー
- 高さが低いため、写真を左に寄せて名前と開始日だけを置いた。コピーと申し込み先は省き、バナーを押した先のページで伝える。
- 記録
- サイズごとに、省いた情報と写真のトリミングの範囲を書いた。
055工程のうち5
画像を書き出して点検する
掲載先の形式で画像を書き出し、書き出した画像そのものを点検して掲載へ渡します。
考え方
点検は、書き出した画像ファイルを開いて行います。デザインツールの表示と書き出した画像では、圧縮や色の変換で見え方が変わることがあります。文字、ロゴ、端の見切れ、細い線のつぶれを、掲載先と同じ大きさで確かめます。
掲載や投稿をいつ誰が行うかは、案件の取り決めに従います。点検が終わった画像でも、公開の承認が別に必要な場合があります。名前の権利の確認が終わっていなければ、確認が済むまで掲載を待ちます。
判断の材料と合否
- 判断すること
- 書き出した画像を掲載へ渡してよいか
- 材料
- 書き出した画像ファイル、掲載先の形式と容量の規定、言葉の記録と確認結果、下書きや限定公開で見た表示(確かめられる場合)
- 合格の条件
- 全サイズで文字、ロゴ、見切れに問題がなく、形式と容量が規定に収まり、名前の確認が済んでいる
- 満たさないとき
- 圧縮で細部が崩れれば、書き出しの設定か素材の扱いを直します。見切れがあれば工程04の配置を直します。名前が使えないと分かったら、ネーミング・コピーのガイドの工程03へ戻り、候補を選び直してもらいます。
推奨と理由
書き出したファイルで点検する
理由圧縮による崩れは、書き出した画像にしか表れません。
掲載先にアップロードしたときの表示も確かめる
理由掲載先が独自に圧縮や切り抜きを行う場合があり、ファイルだけでは分からない変化があります。下書き保存や限定公開で確かめられる場合に、案件の取り決めの範囲で行います。
次へ進む目安
- 書き出した全サイズで、文字、ロゴ、見切れに問題がない
- 形式と容量が規定に収まっている
- 名前の確認が済み、掲載の承認の流れが分かっている
具体例
定期便の開始を知らせる画像
- 点検
- 横長バナーを書き出すと、容量の上限に合わせた圧縮で、手紙に写った細い文字がつぶれた。手紙の文字は読ませない扱いにし、ぼかしを加えて目立たなくした。
- 掲載前の確認
- SNSの下書き表示で、正方形の画像の端が一覧で切れないことを確かめた。
- 名前
- 名前の権利の確認が済んだことを確かめてから、掲載の担当である店主に渡した。
成果を渡す先
点検した画像は、案件の取り決めに従って掲載へ渡します。制作の途中で他のガイドの成果が必要になったときや、同じ告知を別の形で出すときは、次の表の時点と内容で受け渡します。
| 渡す先 | 渡すもの | 渡す時点 |
|---|---|---|
| イラスト・画像素材 工程01 | 置く大きさ、背景、隣に置く文字の条件。完成した素材を持ってこのガイドの工程03へ戻る | 写真の代わりに挿絵などの素材が必要になったとき |
| 印刷物・グッズ 工程01 | 確定した代表サイズのデザイン。色と寸法は印刷用に作り直す | 同じ告知をポスターやチラシとして印刷するとき |
| Web・LP | バナーで省いた情報と、ページで伝える必要がある内容 | バナーが案内する先のページを作るとき |
| 掲載の担当 | 書き出した画像と点検の記録 | 工程05で掲載へ渡すと決めたあと。投稿や入稿は案件の取り決めに従う |
このガイドへ戻るとき
載せる言葉と確認状況を確かめ直す必要が出たときは、ネーミング・コピーのガイドの工程05の記録を参照します。名前が使えないと分かって言葉が差し替わったときや、イラスト・画像素材のガイドで書き出した素材を組み込むときは、このガイドの工程03から仕上げ直し、展開と点検をやり直します。